【初心者でも分かる】家事按分とは?仕訳方法と割合の決め方

家事按分

個人事業主やフリーランスのような個人で事業を営んでいる場合、事業で使った経費と個人で使って経費が明確に区別できない場合が出てきます。そのような場合は家事按分という方法で一定割合を経費にすることが認められています。今回はその具体的な方法をご紹介いたします。


個人事業主やフリーランスのような個人で事業を営んでいると、

これって家事費?それとも仕事の経費?
両方で使っているから明確に分けられないな…

と悩むことはありませんか?実は、多くの個人事業主がこの問題に頭を抱えています。今日は、そんなモヤモヤを解決する「家事按分」というテクニックをご紹介します!

家事按分って聞いただけで難しそう…

でも大丈夫!

この記事を読めば、初心者の方でも簡単に理解できるはずです。実際、正しく家事按分を行うことで、多くの個人事業主の方が税金の節約に成功しているんです。

国税庁も、適切な家事按分の重要性を認めています。つまり、これは単なる節税テクニックではなく、正当な会計処理方法なのです。

この記事では、家事按分の基本的な考え方から具体的な仕訳方法、そして実際の按分割合の決め方まで、順を追って解説していきます。これらの知識を身につければ、あなたも自信を持って経費を管理できるようになりますよ。

最後には、家事按分のポイントをまとめた実践的なチェックリストもご用意しています。これを活用すれば、あなたのビジネスにぴったりの家事按分が必ず見つかるはずです。

さあ、一緒に家事按分のコツを学んでいきましょう。このブログを読み終わる頃には、あなたも家事按分のエキスパートになっているかもしれませんよ!

目次

家事按分とは

想像してみてください。あなたは自宅の一室でウェブデザインの仕事をしています。仕事中、エアコンを使って快適に過ごしていますが、同時に家族もそのエアコンの恩恵を受けています。さて、このエアコンの電気代は仕事の経費なのでしょうか、それとも家事費なのでしょうか?

実はこの答えは、「両方」なのです。これこそが「家事按分」の考え方の基本です。家事按分とは、ビジネスと私生活の両方で使用される経費を、その使用割合に応じて分けて計算する方法のことを指します。まるでピザを家族で分け合うように、経費も用途に応じて適切に分配するのです。

この考え方は、個人事業主や フリーランスの方々にとって非常に重要です。なぜなら、正しく家事按分を行うことで、適切に経費を計上し、正確な所得を算出することができるからです。これは単なる節税テクニックではありません。適切な経費計上は、健全なビジネス運営と正確な納税の両立につながる、言わば経営の要なのです。

家事按分の対象となる典型的な例としては、先ほど挙げた光熱費の他にも、家賃、インターネット回線使用料、携帯電話料金などが挙げられます。これらの経費は、仕事にも私生活にも使われるものですよね。

例えば、自宅の一室を仕事用のオフィススペースとして使用している場合を考えてみましょう。部屋の広さが全体の20%だとすると、家賃や光熱費の20%を仕事の経費として計上できる可能性があります。これが家事按分の実践例です。

しかし、ここで注意が必要です。「よし、なるべく多くの経費を仕事用に按分しよう!」と思われるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。過度な按分は税務調査の対象となる可能性があります。家事按分は、あくまでも実態に即して行うことが大切です。

では、具体的にどのように家事按分を行えばよいのでしょうか?基本的には、経費ごとに適切な按分方法を選び、その使用実態に基づいて按分割合を決定します。例えば、先ほどの部屋の例では面積比を用いましたが、電話代であれば通話時間の比率を用いるなど、経費の性質に応じて適切な方法を選択します。

家事按分を正しく行うことで、あなたのビジネスの収支をより正確に把握することができます。それは、将来の経営判断や事業計画にも良い影響を与えるでしょう。さらに、適切な経費計上により、正当な節税効果も期待できます。

ただし、家事按分の方法や割合の決定には、ある程度の専門知識が必要です。自信がない場合は、税理士や会計士などの専門家に相談することをおすすめします。彼らの助言を得ることで、より適切で効果的な家事按分を実現できるでしょう。

家事按分は、一見難しく感じるかもしれません。しかし、基本的な考え方を理解し、丁寧に実践していけば、誰でもマスターできるスキルです。あなたのビジネスを守り、正確な経営を実現するための強力なツールとして、ぜひ家事按分を活用してください。

代表的な家事按分対象経費

それでは実際のどのようなものが家事按分することができるのでしょうか。
こちらが代表的な家事按分をすることができる経費の例です。

  • 車両費
  • 旅費交通費
  • 地代家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 賃借料
  • その他

車両費・旅費交通費

プライベートでも車を使う場合は燃料代や修理代などの車両費、駐車料や高速利用料などの旅費交通費は明らかに個人利用と事業利用が分けられるものもありますが、中にはあいまいな費用も出てきます。このような場合は家事按分をすることができます。

地代家賃・水道光熱費・通信費

自宅を職場としていると自宅の維持にかかわる地代家賃や水道光熱費、電話代などの通信費は家事按分することができます。

家事按分割合の決め方(例)

面積から算出

事業占有面積20㎡と居住スペース80㎡の場合は事業割合20%となります。

こちらは家賃などでよく使われます。

利用時間・日数から算出

ワンルームの自宅で事業に使う時間が1か月の1日当たりの平均が6時間だったとすると
6時間÷24時間となり、事業割合は25%となります。

こちらは例えば家賃・水道光熱費・通信費などでよく使われます。

走行距離から算出

年間の走行距離100㎞のうち事業用に使った距離が30㎞だったとすると
事業割合は30%となります。

こちらは車両費・旅費交通費などでよく使われます。

按分仕訳の仕方

ここから具体的な按分の仕訳方法について見ていきましょう。

ガソリン代を事業割合80%で家事按分する場合を確認してみます。

期末にまとめて按分する場合

費用の発生時は一旦全額経費として仕訳をします。

借方貸方
車両費
課税仕入10%
10,000円普通預金10,000円
2月発生時
借方貸方
車両費
課税仕入10%
5,000円普通預金5,000円
8月発生時

発生経費10,000円+5,000円=15,000円
事業割合は80%なので経費にできるのは
15,000円×80%=12,000円
差額の3,000円を車両費から事業主貸に振り替える仕訳をします。

借方貸方
事業主貸3,000円車両費
課税仕入10%
3,000円
期末仕訳

このような仕訳をするために事業割合の決まっている費用は補助科目等でまとめておくと、期末に振り替え仕訳をする金額を算出するときに計算が楽になります。

発生時に都度按分する場合

発生経費10,000円で事業割合は80%なので経費にできるのは8,000円

普通預金から10,000円引き出されていることは変わらないのでここは変えることができません。
そのため差額の2,000円を事業主貸として借方に入れて調整します。

借方貸方
車両費
課税仕入10%
8,000円普通預金10,000円
事業主貸2,000円
発生時仕訳

または個人の財布や個人の口座からの出金の場合は初めから下記のような仕訳でも構いません。

借方貸方
車両費
課税仕入10%
8,000円事業主借 or 現金等8,000円
発生時仕訳

毎回発生都度仕訳をするので期末に慌てることがなくなりますが、按分することを忘れていたり、計算を間違っていたりするとチェックするのが大変になります。

まとめ

家賃の事業割合は20%
車両費の事業割合は30%
携帯電話の利用料の事業割合は50%

などあらかじめ決めておいて、勘定科目や補助科目で集計できるようにしておくと決算時に簡単に家事按分の整理仕訳をすることができます。

また、事業割合は毎月比率を変えたり厳密に細かい数字まで計算する必要はありません。税務署から質問があった時になぜその事業割合にしたのかを明確に回答できるようにさえしておけば大丈夫です。

この記事が少しでも皆さんのお役に立てたらうれしいです。

家事按分

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この記事を書いた人

経理部では特異なExcelスキルを活かしつつ部署内の業務改善で紙運用・手書き・二度手間・手入力などの無駄作業改善を進め、大幅な工数削減を実現しました。その成果もあり、M&Aで子会社(経理業務はすべて本社で処理)が8社から10社まで増えていきましたが、経理部門では定年退職等でむしろ人数が減っているにもかかわらず、全員残業無しで暇な時間すらある状態を維持できています。

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