非インボイスの80%控除とは|会計処理上の対応方法について

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インボイス制度は、適格請求書(インボイス)を発行し、受け取ることによって消費税の仕入税額控除を受けることができる制度です。2023年10月に導入されたこの制度は、取引の透明性を高め、消費税の適正な申告と納付を促進する目的があります。基本的にはインボイス登録事業者だけがインボイスを発行することができ、インボイスが無ければ消費税の税額控除をできなくするというものです。
しかし、全ての事業者が即座にインボイス制度に対応できるわけではないため、経過措置として「非インボイスの80%控除」が導入されましたが、具体的な処理方法としてどのようなことをしたらいいのか、今回はもらった領収書や請求書がインボイスではなかった場合にどのように処理をしたらいいかを解説していきます。

目次

非インボイスの80%控除とは?

非インボイスの80%控除とは、インボイス制度の導入初期段階で、適格請求書が発行されない取引に対しても一定の控除を認める措置です。この措置により、仕入税額控除を受けることができますが、控除率が100%ではなく80%に制限されます。

制度の目的

非インボイスの80%控除の目的は、インボイス制度への円滑な移行を支援することです。特に中小企業や個人事業主など、インボイス制度への対応が遅れる可能性がある事業者に対して、段階的に対応を促すための措置として設けられています。

適用期間

非インボイスの80%控除は、インボイス制度の導入から一定期間(具体的な期間は法令で定められます)適用されます。この期間内に事業者はインボイス制度への対応を進め、適格請求書を発行・受領する体制を整える必要があります。

具体例

例えば、仕入れ金額が100万円(税抜)の商品を購入し、消費税が10万円(10%)だった場合、インボイスが発行されていない取引については、通常の仕入税額控除では10万円全額が控除対象となります。しかし、非インボイスの80%控除が適用される場合、この10万円の80%、すなわち8万円のみが控除対象となります。

仕入税額控除の計算例

通常のインボイスがある場合

  • 仕入金額(税抜):100万円
  • 消費税:10万円
  • 控除額:10万円

非インボイスの80%控除が適用される場合

  • 仕入金額(税抜):100万円
  • 消費税:10万円
  • 控除額:8万円

事業者の対応

事業者は、非インボイスの80%控除の適用期間中に、以下の点に注意して対応を進める必要があります。

  1. インボイス発行の準備:
    • 適格請求書発行事業者として登録し、適格請求書を発行できる体制を整える。
  2. 取引先との調整:
    • 取引先とインボイスの発行・受領に関する調整を行い、制度に対応する。
  3. 会計システムの整備:
    • インボイス対応の会計システムを導入し、適格請求書の管理を効率化する。

まとめ

非インボイスの80%控除は、インボイス制度への円滑な移行を支援するための過渡期措置です。この措置を利用しつつ、事業者は早期にインボイス制度に対応するための準備を進めることが求められます。適切な対応を行うことで、消費税の仕入税額控除を確実に受けることができ、事業運営の透明性と信頼性を向上させることが可能です。

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この記事を書いた人

経理部では特異なExcelスキルを活かしつつ部署内の業務改善で紙運用・手書き・二度手間・手入力などの無駄作業改善を進め、大幅な工数削減を実現しました。その成果もあり、M&Aで子会社(経理業務はすべて本社で処理)が8社から10社まで増えていきましたが、経理部門では定年退職等でむしろ人数が減っているにもかかわらず、全員残業無しで暇な時間すらある状態を維持できています。

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