【脱税と節税の違い】失敗しない経理処理の方法徹底解説

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脱税と節税の違い

「先生、脱税と節税って何が違うんですか?」

ある日、個人事業主の山田さんから相談を受けました。税金の話題は多くの経営者にとって悩みの種。特に、経理に詳しくない方にとっては、その境界線が曖昧に感じられるかもしれません。

実は、この質問は非常に重要です。脱税と節税の違いを正しく理解することは、あなたのビジネスの健全性と成功に直結するからです。

私は、ある企業で10社ほどの子会社の経理を一手に引き受けています。その経験から言えることは、適切な経理処理の知識は、ビジネスの成長に欠かせないということです。

この記事では、脱税と節税の明確な違いを解説するとともに、合法的かつ効果的な節税方法についても詳しく紹介します。これらの知識を身につけることで、あなたは税務上のリスクを回避しつつ、ビジネスの収益性を最大化することができるでしょう。

結論から言えば、脱税は違法行為であり避けるべきですが、節税は合法的で推奨される行為です。では、具体的にどう違うのか、そしてどのように適切な節税を行えばいいのか。この記事を読み終える頃には、あなたも自信を持って経理処理ができるようになっているはずです。

目次

脱税と節税の違いを理解しよう

違い

脱税と節税、どちらも税金を減らすという点では同じように聞こえるかもしれません。でも、実はこの2つには天と地ほどの違いがあるんです。

脱税は違法行為であり、重大なペナルティが課される一方、節税は合法的に税負担を軽減する方法です。この違いを理解することが、経営者として非常に重要なポイントになります。

では、具体的に見ていきましょう。

脱税とは何か

脱税のイメージ

脱税とは、簡単に言えば「ズルをして税金を払わない」ことです。法律で定められた税金を、故意に少なく申告したり、まったく申告しなかったりする行為のことを指します。

これは違法行為であり、発覚すると非常に重い罰則が待っています。具体的には、追徴課税(本来払うべきだった税金を後から払わされること)や、罰金、さらには懲役刑が科される可能性もあるのです。

(具体例)売上を減らして税金を逃れる

脱税の典型的な例として、売上を少なく申告するというものがあります。

例えば、あなたが1,000万円の売上があったにもかかわらず、税務署には800万円しか申告しなかったとします。これは明らかな脱税行為です。

「えっ、でも200万円くらいなら大丈夫じゃない?」

そう思う方もいるかもしれません。しかし、金額の大小に関わらず、意図的に売上を隠すことは違法なのです。まるで、お店のレジから一部のお金を抜き取るようなものですね。小さな不正でも、それは立派な犯罪なのです。

売上を隠す具体的な手口としては、以下のようなものがあります:

  1. 売上を計上しない:現金取引で領収書を発行せず、その売上を記録しない
  2. 二重帳簿:実際の売上を記録する帳簿と、税務署に提出用の少ない売上を記録した帳簿を別々に作成する。
  3. 売上の繰り延べ:実際には今年度の売上なのに、来年度の売上として処理する。

これらはすべて違法行為であり、税務調査で発覚するリスクが高いです。

(具体例)経費を不正に計上して税金を逃れる

もう一つよくある脱税の手口は、経費の水増しです。

例えば、家族で行った旅行の費用を「事業のための出張費」として計上したり、自家用車の維持費をすべて「事業用車両の経費」として申告したりするケースがあります。

これらも脱税に該当します。経費として認められるのは、あくまでも事業に直接関係する支出のみです。プライベートな支出を経費として計上することは、税務署から見れば「嘘をついている」のと同じなのです。

経費の不正計上の具体例:

  1. 私的な飲食費を接待費として計上
  2. 領収書を書き換えて実際よりも多く払ったように装う
  3. 架空の経費を計上(存在しない取引の領収書を偽造するなど)

これらの行為は、税務調査で簡単に発覚する可能性が高く、重大な結果を招く恐れがあります。

節税とは何か

節税

一方、節税は全く違います。節税とは、法律の範囲内で賢く税金を減らす方法のことを指します。

言わば、「お得な割引クーポンを使う」ようなものです。クーポンを使って商品を安く買うのは全く問題ありませんよね。節税も同じで、法律で認められた方法を使って税金を減らすのは、むしろ賢明な経営者の取るべき行動なのです。

売上の計上タイミングを調整して節税する

節税の一例として、売上の計上タイミングの調整があります。

これは既に終わった案件の売上時期を任意で設定して意図的にずらすという事ではなく、商品の提供・納品・引き渡しなどのタイミングを調整するということです。

例えば、期末に発生した案件の納品をあえて翌期になってから納品することで売上時期を後ろにずらすことができます。ただし、実際には今期中に納品が完了しているのに翌期になってから納品したように装い、売上日を偽ることはいけません

これにより、今年の税金を減らすことができるのです。ただし、この方法は適切に行わないと脱税と見なされる可能性があるので、注意が必要です。確実な方法としては、税理士さんに相談することをおすすめします。

具体的な注意点:

  1. 恣意的な操作はNG:毎年同じように処理する必要があります。
  2. 取引の実態を伴う必要がある:単に書類上の操作だけでは認められません。
  3. 相手方との合意が必要:一方的な判断では問題が生じる可能性があります。

確実な方法としては、税理士さんに相談することをおすすめします。

経費にできるものをきちんと経費にする

もう一つの重要な節税方法は、経費をしっかり計上することです。

  1. 事業に関係する支出は、適切に経費として計上することで、課税対象となる利益を減らすことができます。例えば、以下のようなものが経費として認められます:
  1. 車両費(事業使用分)
  2. 事務所の家賃や光熱費
  3. 事業用の備品や消耗品
  4. 従業員の給与や社会保険料
  5. 接待交際費(上限あり)
  6. 広告宣伝費
  7. 専門家への報酬(税理士、弁護士など)

ただし、先ほどの脱税の例で挙げたように、プライベートな支出を経費に混ぜてはいけません。線引きが難しい場合は、やはり税理士さんに相談するのが賢明です。

節税に役立つ具体的な方法

ここからは、その他の節税方法をいくつか紹介します。これらは、多くの個人事業主の方々に有効な方法です。

小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用する

iDeCo

小規模企業共済とiDeCoは、節税効果が高く、将来の資産形成にも役立つ制度です。

  1. 小規模企業共済:
    • 対象:個人事業主や会社役員
    • メリット:掛け金が全額経費または所得控除の対象になる
    • 上限:月々7万円(年間84万円)まで
    • 税制優遇:受取時に退職所得扱いまたは公的年金等の雑所得扱い
  2. iDeCo(個人型確定拠出年金):
    • 対象:原則として60歳未満の全ての方
    • メリット:掛け金が全額所得控除の対象になる
    • 上限:月々2.3万円(年間27.6万円)まで(自営業者の場合)
    • 税制優遇:運用益が非課税、受取時に退職所得扱いまたは公的年金等の雑所得扱い

これらの制度を利用することで、将来の資産形成をしながら、現在の税金も節約できるのです。まさに一石二鳥ですね。

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税

ふるさと納税は、自治体に寄附をすることで税金の控除を受けられる制度です。個人事業主の方々にとっても、効果的な節税方法の一つとなります。

ふるさと納税のメリット:

  1. 寄附金の大部分が所得税と住民税から控除される
  2. 寄附先の自治体から返礼品がもらえる
  3. 複数の自治体に寄附を分散できる

具体例: 年収500万円の方が、76,000円をふるさと納税で寄附した場合

  • 所得税の控除額:約6,000円
  • 住民税の控除額:約68,000円
  • 実質的な自己負担:約2,000円

つまり、76,000円の寄附に対して74,000円の税金が軽減され、さらに返礼品ももらえるということです。

注意点:

  • 確定申告が必要(ワンストップ特例制度を使用する場合を除く)
  • 控除額には上限があり、収入によって変わる

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青色申告を活用する

個人事業主の方は、青色申告を積極的に活用しましょう。青色申告には以下のようなメリットがあります:

  1. 最大65万円の特別控除(電子申告で最大55万円、それ以外で最大10万円)
  2. 赤字の繰越控除(3年間)
  3. 家族従業員の給与が経費として認められる
  4. 固定資産の減価償却費が計上できる

青色申告をするためには、日々の取引を正確に記帳し、適切な帳簿を作成する必要があります。手間はかかりますが、節税効果は大きいので、ぜひ検討してみてください。

帳簿付けを簡単にするには会計ソフトを使うと便利です。おすすめの会計ソフトに関してはこちらの記事を参照してみてください。

固定資産の減価償却を活用する

事業用の固定資産(建物、車両、機械設備など)を購入した場合、その費用を一度に経費として計上するのではなく、使用年数に応じて少しずつ経費化することができます。これを減価償却と呼びます。

減価償却のメリット:

  1. 長期間にわたって経費を計上できるため、安定した節税効果が得られる
  2. 資産の取得年度に多額の経費を計上することで、その年の税負担を大きく減らすことができる(特別償却制度や少額減価償却資産の特例を利用した場合)

ただし、減価償却の方法や耐用年数は資産の種類によって細かく規定されているので、適切に処理するためには専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

まとめ:正しい節税を行い、脱税は絶対に避けよう

ここまで、脱税と節税の違い、そして具体的な節税方法について説明してきました。

重要なのは、脱税は犯罪であり、決して行ってはいけないということです。一時的に税金を逃れられたとしても、発覚した際のリスクは計り知れません。罰金や刑事罰だけでなく、社会的信用を失うことにもなりかねません。

一方で、適切な節税は積極的に行うべきです。法律の範囲内で賢く税金を管理することは、健全な経営の一部と言えるでしょう。

ただし、節税の方法は複雑で、常に変化しています。確実に節税するためには、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、安心して事業に専念できるはずです。

税金の問題は難しく感じるかもしれませんが、正しい知識を持つことで、むしろビジネスチャンスになる可能性もあります。この記事を参考に、ぜひ賢明な経営判断をしましょう。

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脱税と節税の違い

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この記事を書いた人

経理部では特異なExcelスキルを活かしつつ部署内の業務改善で紙運用・手書き・二度手間・手入力などの無駄作業改善を進め、大幅な工数削減を実現しました。その成果もあり、M&Aで子会社(経理業務はすべて本社で処理)が8社から10社まで増えていきましたが、経理部門では定年退職等でむしろ人数が減っているにもかかわらず、全員残業無しで暇な時間すらある状態を維持できています。

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