短期借入金と長期借入金の使い分けについて

短期長期借入金について

「短期借入金」と「長期借入金」はよく似た勘定科目ですが、会計上の意味が違います。そのためこの二つの使い分けと扱い方法をしっかり認識して運用していく必要があります。

今回は、「短期借入金」と「長期借入金」の基本的な違いと、会計システムへの入力時のポイントについて解説します。

目次

短期借入金とは

短期借入金とは、返済期限が1年以内の借入金を指します。主に運転資金や一時的な資金繰りのために利用されることが多いです。銀行からの短期融資や手形借入などがこれに該当します。

特徴

  • 返済期限が1年以内
  • 金利が比較的高いことが多い
  • 企業の資金繰りを助けるために利用される
  • 返済予定が1年以内ですので、貸借対照表上は流動負債に分類される

長期借入金とは

長期借入金とは、返済期限が1年以上の借入金を指します。設備投資や長期プロジェクトの資金調達に利用されることが多いです。住宅ローンや設備投資ローンなどがこれに該当します。

特徴

  • 返済期限が1年以上
  • 金利が比較的低いことが多い
  • 長期的な資金需要に対応するために利用される
  • 返済予定が1年以上ですので、貸借対照表上は固定負債に分類される

仕訳入力時の注意点

1. 短期借入金

短期借入金を借り入れた際、利息分を差し引いた差額を入金されるのか、返済時に利息分を上乗せして返済するのかで仕訳方法が変わってきます。

利息分を差し引いて入金される場合

1月1日に100万円を銀行より借り入れ、利息5万円を差し引かれた差額が普通預金に入金された。元金は3ヶ月後に一括返済する契約をした。

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額摘要
普通預金
税対象外
○銀行・△支店950,000円短期借入金
税対象外
100万借入1,000,000円○銀行より100万借入
支払利息
非課税
50,000円100万借入時支払利息
1月1日

3月31日に銀行へ一括返済した。

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額摘要
短期借入金
税対象外
100万借入1,000,000円普通預金
税対象外
○銀行・△支店1,000,000円○銀行へ100万返済
3月31日

返済時に利息分を上乗せして返済する場合

1月1日に100万円を銀行より借り入れ、全額普通預金に入金された。元金は3ヶ月後に金利5万円分を上乗せして一括返済する契約をした。

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額摘要
普通預金
税対象外
○銀行・△支店1,000,000円短期借入金
税対象外
100万借入1,000,000円○銀行より100万借入
1月1日

3月31日に銀行へ金利5万円を上乗せして一括返済した。

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額摘要
短期借入金
税対象外
100万借入1,000,000円普通預金
税対象外
○銀行・△支店1,050,000円○銀行へ100万返済
支払利息
非課税
50,000円100万借入時支払利息
3月31日

2. 長期借入金

1月1日に銀行から300万円の融資を3年で返済予定で受け、普通預金に振り込まれた。(内100万円は1年以内返済予定分)

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額
普通預金
税対象外
○銀行・△支店3,000,000円短期借入金
税対象外
1,000,000円
長期借入金
税対象外
2,000,000円
1月1日

今月分の返済予定金額を銀行へ金利分を上乗せして返済した。

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額
短期借入金
税対象外
83,333円普通預金
税対象外
○銀行・△支店85,833円
支払利息
非課税
2,500円
○月1日

決算時に来年度に返済予定の長期借入金を短期借入金に振り替えた

借方勘定科目借方補助科目借方金額貸方勘定科目貸方補助科目貸方金額
長期借入金
税対象外
1,000,000円短期借入金
税対象外
1,000,000円
決算

まとめ

仕訳入力をする際は短期借入金と長期借入金を、返済までにかかる月数によって使い分けることが必要です。返済時の仕訳については契約内容によって返済金額が毎月変動したり、返済金額は同じでも支払利息の金額が変動する場合など様々です。
実際に借り入れをした際の返済計画書を見ながら仕訳入力をして行って下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が皆さんのお役に立てていただければ幸いです。
ご意見やご感想がありましたら、ぜひコメント欄でお知らせください。
また、次回の記事もお楽しみに!

短期長期借入金について

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

経理部では特異なExcelスキルを活かしつつ部署内の業務改善で紙運用・手書き・二度手間・手入力などの無駄作業改善を進め、大幅な工数削減を実現しました。その成果もあり、M&Aで子会社(経理業務はすべて本社で処理)が8社から10社まで増えていきましたが、経理部門では定年退職等でむしろ人数が減っているにもかかわらず、全員残業無しで暇な時間すらある状態を維持できています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次