会計処理をする際、似たような科目で使い分け方法が良く分からないものの例として「未払金」と「未払費用」があります。この二つは文字の意味からすると同じものの様ですが、会計上ちゃんと区別されているのです。
今回は「未払金」と「未払費用」の違いについて詳しく解説します。この二つの勘定科目の違いをきちんと理解して使い分けることができるようになりましょう。
未払金と未払費用の違い
未払金と未払費用のそれぞれの特徴について以下にまとめてみました。
項目 | 未払金 | 未払費用 |
---|---|---|
特徴 | 毎月決まって発生しない | 毎月ほぼ決まって発生する経費 |
具体例 | ・文房具をクレジットカードで買った ・ネットで商品を購入し、支払は翌月振込 | ・翌月支払いの保険料 ・翌月支払いの賃金給与 ・後払いの家賃 ・翌期払いの水道光熱費 |
商品の引き渡しや サービスの提供 | 終わっている | 継続している |
計上タイミング | 商品・サービスを購入した時 | 支払が決算をまたぐ時 |
未払金の仕訳具体例
クレジットカードで文房具を購入した
クレジットカードで支払いをすると、その場では現金も預金残高も動きませんので一旦「未払金(クレジット未払金の場合もある)」で仕訳を起こします。
借方勘定科目 | 借方補助科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方補助科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
消耗品費 課税仕入10% | 文房具 | 300円 | 未払金 税対象外 | クレジット | 300円 | コンビニ 文房具購入 |
クレジット口座引落時
クレジットカードの利用料金が口座引落で銀行口座から出金されるタイミングで以下の仕訳を起こします。
今回の例では文房具の購入1本しかありませんが、クレジットカードを複数利用していた場合は未払金の合計金額が変わります。
借方勘定科目 | 借方補助科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方補助科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
未払金 税対象外 | クレジット | 300円 | 普通預金 税対象外 | ○○支店 | 300円 | クレジット支払 |
この支払後、未払金の残高は一旦0円になるはずです。
※クレジットの締め後から支払い日までにクレジットの利用があればその分は0円にならない。
未払費用の仕訳具体例
決算月に利用した水道光熱費の支払いが翌期になる時
今回の例では決算月に利用した電気料金の支払いが決算をまたいで翌期になる場合の仕訳です。
電気料を利用したのはあくまで今期ですので、経費の発生は今期に計上しなければなりません。しかしこのタイミングではまだ、現金も預金残高も動いていませんので、「未払費用」で計上します。
借方勘定科目 | 借方補助科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方補助科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
水道光熱費 課税仕入10% | 電気料 | 2,600円 | 未払費用 税対象外 | 2,600円 | □□電力 ○月分電気料 |
翌期の支払い時
期が変わって翌期の電気料金支払い時には水道光熱費の発生ではなく、未払費用の支払いになる点だけ注意が必要です。ここで前期末に発生していた未払費用を振り返る仕訳を起こします。
借方勘定科目 | 借方補助科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方補助科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
未払費用 税対象外 | 2,600円 | 普通預金 税対象外 | ○○支店 | 2,600円 | □□電力 ○月分電気料 |
この時、未払費用の残高が0円になっていることを確認します。
まとめ
未払金と未払費用の違いと使い分けについてご紹介しましたが、個人事業主の確定申告においては納税額の計算には影響しないため、そこまで厳密に使い分けをしていく必要はありません。すべて「未払金」にまとめてあったとしても特に問題になることはありません。
ただし、法人においては各月の月次決算をしっかりやろうとすると、損益計算や残高調整が複雑になる傾向にありますので、きっちりと使い分けをしていく方が後々の手間がなくなりますので、しっかりと理解したうえで使い分けをするようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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