「先月、経理担当が急に辞めることになって…後任の子が全然仕事を覚えられないんです」
経理業務の引き継ぎで、こんな悩みを抱えている管理職の方は少なくないはずです。私自身、ある企業で前任者が退職直前まで引き継ぎの準備をしておらず、マニュアルすらない状態からのスタートを経験しました。結果的に、支払いが遅れたり、仕訳ミスが続出したり…。今思い出しても冷や汗が出る経験でした。

実は、経理の引き継ぎでつまずく原因の多くは「前任者の頭の中にある暗黙知」にあります。「あの取引先はこう仕訳する」「この支払いは特別なルールがある」といった属人的な情報が、きちんと整理されていないんです。10社以上の経理業務を支援してきた経験から言えば、これは本当によくある問題です。
でも、諦めないでください。私たちは、Excelやクラウドツールをうまく活用することで、「2週間程度」で引き継ぎを完了させた実績があります。大切なのは
「業務の引き継ぎ」ではなく「情報の引き継ぎ」という視点
なんです。
この記事では、経理引き継ぎの失敗がもたらすリスクから、具体的な対策、そして根本的な解決策までを、実例を交えて解説していきます。例えば、請求書発行のフローを整理して入金確認を自動化したり、経費精算の申請フローをシンプル化したり…。これまでの経験から得た、実践的なノウハウをお伝えします。

特に、「マニュアルがない」「標準化が進んでいない」という組織の課題を感じている管理職の方に、新しい視点と具体的な解決策を提供できるはずです。
結論を先に言えば、経理の引き継ぎ問題は、実は組織の経理体制を根本から見直すチャンスなんです。今回ご紹介する方法で、属人化の罠から抜け出し、効率的で強固な経理体制を作っていきましょう。
経理引き継ぎの失敗で起こる3つの重大リスク

決算・税務申告の遅延リスク
「そろそろ確定申告の時期なのに、後任者が資料をうまくまとめられていない…」
こんな状況に陥ると、税務署への提出が遅れたり、追徴課税を受けたりするリスクが発生します。私が経験した中でも、後任者が決算書の作成手順を理解できず、税理士との打ち合わせが何度もずれ込んでしまったケースがありました。
【参考】確定申告の遅延で起こりうるペナルティについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
支払い遅延による取引先との関係悪化
これが一番厄介なトラブルです。ある企業では、前任者が「この支払いは特別な処理が必要」という情報を引き継いでおらず、取引先から督促の電話が殺到するという事態に…。
特に、以下のようなケースで起きやすいトラブルです:
- 支払い条件が取引先ごとに異なる
- 請求書の承認フローが複雑
- 支払いスケジュールが整理されていない
「うちはそんな複雑な取引はない」と思われるかもしれません。でも、実は当たり前のように処理している業務にこそ、属人化の罠が潜んでいるんです。
ミスによる会計データの信頼性低下
「売上と売掛金の計上のタイミングがバラバラで、月次決算が合わない…」
こんな経験、ありませんか?
実は、経理業務の引き継ぎで最も多い失敗パターンが、このデータの信頼性低下なんです。私たちが支援してきた企業でも、以下のような問題がよく発生していました:
- 仕訳ルールが担当者によってバラバラ
- 売上計上のタイミングが不統一
- 債権・債務の管理が曖昧
【コラム】「仕訳って何?」という方へ
仕訳とは、取引を借方(入ってくるお金)と貸方(出ていくお金)に分けて記録することです。例えば、文具を購入した場合は「消耗品費」(借方)と「現金」(貸方)という具合に…。
これらのリスクは、実は氷山の一角。その下には、もっと根本的な問題が潜んでいます。次のセクションでは、なぜ経理の引き継ぎがこれほど難しいのか、その本質的な原因に迫っていきましょう。
なぜ経理の引き継ぎは困難を極めるのか

専門知識と実務経験の壁
「仕訳って、結局どうやって判断すればいいんですか?」
実は、これは後任者からよく聞かれる質問なんです。経理の難しさは、単純作業のように見えて、実は高度な判断が必要なところにあります。
例えば、こんな場面。
- 「この経費、消耗品費で良いのかな…固定資産にすべき?」
- 「前払い費用ってどういう時に使うんだっけ…」
- 「非課税と不課税ってどうやって使い分けるの?」
- 「この請求書、今月の売上に計上して良いのかな…」
【アドバイス】
経理未経験の後任者には、まず「なぜその処理が必要なのか」という目的から説明すると理解が早くなります。「ただのルール」ではなく「理由のある処理」として伝えましょう。
非課税と不課税については「【初心者必見】消費税の非課税と不課税の違いを分かりやすく解説」で詳しく解説しています。
不十分な引き継ぎ期間の現実
「来月から新しい担当者に変わるので、2週間で引き継ぎをお願いします」
…あぁ、よくあるパターンですね(苦笑)
実体験として、2週間の引き継ぎ期間で上手くいったケースはほとんどありません。なぜなら、経理には「月次」のサイクルがあるからです。月初の入金消込から、月末の締め作業まで、一連の流れを最低1回は経験する必要があります。
【現実的な引き継ぎ期間の目安】
- 通常期:最低1ヶ月
- 決算期を含む場合:2〜3ヶ月
- 税務申告がある場合:3〜4ヶ月
「そんなに時間はとれない!」という声が聞こえてきそうですね。大丈夫です。後ほど、効率的な引き継ぎ方法をご紹介します。
属人化された業務フローの問題点
ここが一番の落とし穴です。
「それは〇〇さんのやり方で…」
「××さんの時はこうしてたから…」
こんな言葉、職場でよく聞きませんか?
実際にあった事例をご紹介します。ある企業では、前任者が「エクセルの表に金額を入れると自動で仕訳が作られる」というツールを使っていました。便利そうに見えますよね?
でも、このツールの計算式を理解しているのは前任者だけ。引き継ぎ後、金額が合わなくなった時に誰も修正できず、結局、一から作り直すことになってしまいました。
【コラム】属人化のサイン
- マニュアルが存在しない
- 特定の人しか使えないツールがある
- 「なんとなく」でルールが決まっている
- 例外処理が多い
心当たりはありませんか?
自社で引き継ぎを行う場合の対策

業務の可視化とマニュアル作成のポイント
まずは、業務の「見える化」から始めましょう。
私がおすすめするのは、付箋を使った業務の洗い出しです。経理業務を以下の3つに分類してみてください:
🔵 日次業務(毎日必ず行う作業)
🟡 月次業務(月に1回の締め作業など)
🔴 年次業務(決算、税務申告など)
これを壁に貼り出して、前任者と一緒に見ながら整理していくんです。意外と「あ、これも必要でした!」という業務が出てくるものです。
【実践テクニック】
業務マニュアルは細かすぎても読まれません。私のおすすめは「1作業=1ページ」のルール。
大事なのは「完璧なマニュアル」ではなく「使えるマニュアル」です。
会計ソフトの選定と移行計画
正直に言いますが、古いタイプの会計ソフトを使い続けているのは、かなりのリスクです。
先日も、こんな事例がありました。
あるクライアントが使っていた旧式の会計ソフトは、前任者しか操作方法を知りませんでした。後任者が入力しようとしても、画面の見方すら分からない…。結果、仕訳が全く進まず、月次決算が大幅に遅れてしまったんです。
現在のおすすめは、クラウド型の会計ソフトです。例えばマネーフォワードクラウドなら:
- 銀行口座やクレジットカードと自動連携
- 請求書の自動読み取り
- 仕訳の自動処理
これらの機能により、人的ミスを大幅に減らすことができます。
【アドバイス】
ソフトの移行は、決算期を避けて行うのがベストです。10月頃から準備を始めて、年明けの1月からスタート、というのが理想的なスケジュールです。
チェックリストによる進捗管理
「引き継ぎ完了」の判断って、意外と難しいですよね。
「できています!」と言われても、本当にできているのか不安…。そんな経験、私もあります。
そこでおすすめなのが、このような3段階チェックリストです:
- 【見学】前任者の作業を見て理解する
- 【実践】実際にやってみて、前任者にチェックしてもらう
- 【完了】1人で問題なく実行できる
特に気を付けたいのが、「できています」の定義。「なんとなくやり方は分かった」と「1人で確実にできる」は、全然違います。
経理体制の抜本的な見直しのために

属人化のリスクと組織的な課題
ここで、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
なぜ、引き継ぎがこんなに大変になってしまうのでしょうか?
実は、その背景にある最大の問題は「属人化」です。例えば:
- 特定の人しか使えないエクセルの計算式
- 口頭でしか伝えられていないルール
- 個人のPCにしかないデータ
これって、とても危険な状態なんです。
【コラム】ある企業の悲劇
経理担当者が急な病気で倒れ、2週間出社できなくなりました。
誰も業務フローを知らず、支払い処理が完全にストップ。
取引先からの督促が殺到し、信用問題に発展…。
経理部門の将来的なあり方
正直に申し上げます。
「1人の経理担当者に全ての業務を任せる」という体制は、もう限界にきています。
なぜでしょうか?それは、以下のような環境の変化があるからです:
- インボイス制度の開始
- 電子帳簿保存法の要件厳格化
- 働き方改革による業務効率化の要請
- DXの波
こうした変化に、1人の担当者が全て対応するのは、正直、無理があります。
コスト最適化の重要性
「でも、経理の人員を増やす余裕はない…」
よく聞く悩みですよね。実は、ここで考えるべきは「人数」ではなく「やり方」なんです。
例えば外部の経理代行サービスに依頼するという選択肢もあります。
こんな計算をしてみましょう:
- 経理担当者の年間人件費:400〜500万円
- 社会保険等の企業負担:+100万円程度
- 採用費用:50〜100万円
- 教育研修費:20〜30万円
これに対して、例えば経理代行サービスなら:
- 月額5万円からスタート可能
- 即戦力のプロフェッショナル
- 複数名体制による安定運用
- 最新のITツールやノウハウの活用
【実例】ある50人規模の企業では、経理担当者の退職を機に経理代行サービスに切り替えました。結果、年間コストを40%削減しながら、業務品質は向上。経営者の方は「もっと早く切り替えれば良かった」とおっしゃっていました。
経理業務の外部委託という選択肢

自社で抱えるリスクの軽減
正直な話、こんな経験ありませんか?
- 「経理担当者が急に休んで、給与計算が間に合わない…」
- 「税理士から指摘された問題に、誰も対応できない…」
- 「経費精算が遅れて、社員から不満が…」
実は、これらの問題のほとんどは、「1人に依存する体制」が原因です。
専門家による業務品質の向上
経理代行サービスの最大のメリット。それは「プロフェッショナルのナレッジ」を活用できることです。
例えば:
- 最新の税制改正への対応
- 効率的な経理フローの構築
- 経営に役立つ財務分析
これらを、自社だけで対応しようとすると、相当な時間とコストがかかります。
経営管理体制の強化
「うちの会社の経理、ちゃんとしてるのかな…」
経営者の方からよく聞く不安です。
実際、私たちが新規で経理業務を引き継いだ時、こんな問題が見つかることも:
- 勘定科目の使い方が不適切
- 資産計上すべきものが経費計上
- 預かり金と売上の区分が曖昧
これって、決算書の信頼性に関わる重大な問題なんです。
経理代行サービス活用のメリット

引き継ぎリスクからの解放
「引き継ぎの準備、いつから始めれば…」
「後任者の教育、どこまでやれば…」
こんな悩み、もう抱える必要はありません。
経理代行サービスでは、経験豊富なスタッフが複数名体制で対応します。つまり:
- 突然の退職リスクがない
- 引き継ぎの心配がない
- 教育コストがかからない
【実例】
「前任者が急に退職することになり、困っていたところでした。経理代行サービスに切り替えてからは、そんな心配から解放されました。今では『なぜもっと早く切り替えなかったんだろう』と思うくらいです」
(IT企業 経営企画部長)
専門的な経理体制の即時構築
経理代行を利用するメリットは、実は「引き継ぎ問題の解決」だけではありません。
例えば、こんなメリットがあります:
- 最新の会計知識とノウハウの活用
- インボイス制度対応
- 電子帳簿保存法対応
- 税制改正への迅速な対応
- 業務効率化の実現
- クラウド会計ソフトの導入支援
- 経費精算フローの最適化
- 支払い業務の自動化
- 経営に役立つレポーティング
- キャッシュフロー分析
- 経営指標レポート
- 予実管理
経営判断に集中できる環境づくり
「経理の細かい実務に時間を取られて、本来やるべき経営判断の時間が取れない…」
よく聞く経営者の悩みです。
実は、経理代行サービスを利用することで、こんなことが可能になります:
- 毎月の経営会議に向けて、分析レポートを自動作成
- 資金繰りの見通しを常に把握
- 経営判断に必要な数字が、すぐに確認できる
【ある経営者の声】
「以前は経理担当者の残業や休日出勤が当たり前でした。経理代行に切り替えてからは、業務が効率化され、社内の働き方も大きく改善。経営陣も数字に基づいた判断がしやすくなりました」
よくある質問(FAQ)

経理業務の外部委託範囲について
Q. どこまでの業務を委託できますか?
A. 基本的な経理業務はすべて対応可能です:
- 日次の仕訳入力
- 月次決算資料の作成
- 給与計算・年末調整
- 税理士との連携
- 経費精算業務
など
社内の経理体制との使い分け
Q. 完全に外部委託する必要があるのでしょうか?
A. いいえ、必ずしもそうではありません。例えば:
- 日常的な経理業務は外部委託
- 戦略的な財務判断は社内で実施
という使い分けも可能です。
コスト比較の考え方
Q. 本当にコストは抑えられるのでしょうか?
A. 実際の数字で比較してみましょう。
【社内で経理担当者を雇用する場合】
- 年間人件費:400〜500万円
- 社会保険料:約100万円
- 採用費用:50〜100万円
- 教育費用:20〜30万円
- その他経費(PCやソフトウェア等):20〜30万円
年間合計:約600〜760万円
【経理代行サービスの場合】
- ミニプラン:年間60万円〜
- スタンダードプラン:年間180万円〜
【コスト削減の実例】

当初は『外部委託なんてコストが高そう』と思っていました。でも実際に計算してみると、人件費や間接コストを含めた総額では、経理代行の方が断然お得でした
データセキュリティについて
Q. 機密情報を外部に出して大丈夫でしょうか?
A. 以下のような対策を講じています:
- 専用のセキュアな環境での業務処理
- スタッフへの定期的なセキュリティ教育
- 秘密保持契約の締結
- 必要最小限の情報しかお預かりしない
実は、社内で管理するよりも、むしろセキュリティレベルは高くなることも。
まとめ:経理体制の未来を考える


ここまで、経理の引き継ぎ問題について詳しく見てきました。
- 引き継ぎの失敗が起こす3つのリスク
- なぜ経理の引き継ぎが難しいのか
- 自社でできる対策
- 経理代行という選択肢
重要なのは、「今の課題を解決する」だけでなく、「将来の経理体制をどうするか」という視点です。
- 属人化のリスクを無くしたい
- 働き方改革を進めたい
- 経営判断に集中したい
そんな方には、経理代行サービスという選択肢を、ぜひ検討してみてください。
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【無料相談受付中】
経理でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
豊富な支援実績を持つ専門家が、あなたの会社に最適な解決策をご提案いたします。
最後に、経理業務の変革を成功させた企業に共通するポイントをお伝えします:
- 変革のタイミングを逃さない
- コストだけでなく、業務品質も重視
- 戦略的な判断として経理体制を見直す
経理の課題、一緒に解決していきましょう。
※本記事の内容は、2025年2月時点の情報に基づいています。
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